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逸失利益

2016年05月26日

交通事故による後遺症と逸失利益の計算 - 基礎収入や期間の算定方法

交通事故の被害によって怪我をし、後遺症が残った場合には、逸失利益と呼ばれる損害賠償を請求することができます。症状の重さや年齢によって逸失利益は非常に大きな金額となるため、計算方法を知ってしっかりと請求することが大切です。ここでは、逸失利益を請求するための流れや計算方法を紹介します。

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目次

  1. 逸失利益とは
  2. 後遺障害による逸失利益の計算
  3. 就労可能年数の例外
  4. 逸失利益と自賠責の限度額

逸失利益とは

逸失利益とは聞き慣れない言葉ですが、本来得られたはずなのに、後遺症によって得られなくなってしまった利益のことを指します。後遺症が残ると、仕事に支障をきたすことも少なくありません。例えば、片腕が麻痺し機能を失ってしまったケースでは、可能な業務の範囲も狭められてしまい、仕事効率も落ちることはイメージしやすいでしょう。 このような労働能力の喪失が起きた場合には、その能力に見合った給与に減額されたり、昇給できなくなるといったように、将来にわたって損失が生まれてしまいます。これらを損害として見積もり、現時点で請求することができるのです。

後遺症による逸失利益を請求するには

逸失利益を請求するためには、労働能力の低下を証明する必要があり、後遺症の場合には後遺障害の等級認定を受ける必要があります。後遺症と後遺障害は似て非なるもので、後遺症の中でも労働能力の喪失を伴うものを後遺障害と呼びます。 後遺障害の等級は16等級142項目に分けられており、等級ごとに労働能力喪失率が定められているので、これを用いて逸失利益の計算を行います。まずは後遺障害認定の手続きをしましょう。詳しくは「交通事故による後遺障害認定の流れ - 被害者請求や非該当となった際の対処法」をご覧ください。

後遺障害による逸失利益の計算

後遺障害の逸失利益は次のように計算します。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に対応する係数

基礎収入の算定方法

基礎収入は事故前に実際に手にしていた年収額に基にします。会社員や公務員などの給与所得者は、給与やボーナス、残業代などの支給総額(税金含む)、自営業などの事業所得者であれば確定申告した事業所得が基礎収入となります。 主婦や学生、働く意思のある失業者などの収入のない場合には、賃金センサス(政府の賃金調査の結果)の平均賃金を用います。

労働能力喪失率

労働能力喪失率は後遺障害の等級ごとに定められており、次の表のようになっています。

等級 労働能力喪失率 等級 労働能力喪失率
要介護第1級 100% 第7級 56%
要介護第2級 100% 第8級 45%
第1級 100% 第9級 35%
第2級 100% 第10級 27%
第3級 100% 第11級 20%
第4級 92% 第12級 14%
第5級 79% 第13級 9%
第6級 67% 第14級 5%

就労可能年数に対応する係数

就労可能年数は、治療によって改善が見込めず後遺症が確定した時点(症状固定時点)から、原則として67歳までの期間で計算します。 逸失利益は毎月毎月請求するものではなく、現時点での価値を評価して一括で請求を行います。現在の価値に置き換えるためには、5%の利率を複利計算で控除します。これを加味した係数がライプニッツ係数と呼ばれ、逸失利益の計算に利用されています。 ライプニッツ係数については「逸失利益の計算に使用するライプニッツ係数表」をご覧ください。

逸失利益の計算例

40歳(就労可能年数27年)で年収600万円の会社員が、後遺障害第5級に認定された場合の逸失利益は、次の金額となります。

  • 基礎収入:600万円
  • 労働能力喪失率:79%
  • 就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643

6,000,000円 × 0.79 × 14.643 = 69,407,820円

就労可能年数の例外

就労可能年数は原則として症状固定時から67歳までの期間ですが、若年でまだ就労していなかったり、反対に高齢であった場合には、この原則を当てはめると現実的でなくなってしまいます。 また、後遺症の中でも、特にむちうちの場合には、期間の制限が加えられることも多くなっています。逸失利益を計算する際には、これらの例外も加味しましょう。

18歳未満の場合

18歳未満の場合には、通常であれば仕事をしていない状態であり、18歳(大学を卒業する予定の場合は22歳)から仕事に就くと考えます。この場合は、症状固定時から67歳までの期間に対応するライプニッツ係数から、症状固定時から18歳までの期間に対応するライプニッツ係数を引いた数値を使用します。 例えば、症状固定時に10歳であった場合の係数は、次のようになります。

  • 10歳から67歳まで57年に対応するライプニッツ係数:18.7605
  • 10歳から18歳まで8年に対応するライプニッツ係数:6.4632
  • 適用される係数:12.2973

高齢者の場合

高齢者の場合は、67歳をすでに超えていたり、もう間もなく67歳を迎えるということも少なくありません。就労可能年数が簡易生命表の平均余命年数の半分以下になる場合には、平均余命年数の半分を適用します。 例えば、症状固定時に60歳の女性であった場合の年数は、次のようになります。

  • 60歳から67歳まで就労可能年数:7年
  • 60歳女性の平均余命年数の半分:15年(端数切り上げ)
  • 適用される年数:15年

むちうちと第12級・第14級

後遺症がむちうちであった場合は、一生涯ではなく一定期間だけ労働能力が失われると考えられるため、最近では労働能力喪失期間に制限を設け、就労可能年数を調整する傾向にあります。第12級に認定されている場合には、5年から10年、第14級の場合には、5年以下となることが多いでしょう。

逸失利益と自賠責の限度額

交通事故の損害賠償は、まず自賠責保険によって最低限の保障がされ、限度額を超えた部分は任意保険によって補償します。しかし、保険会社が全額を補償してくれるとは限らず、争いとなることも多いでしょう。後遺障害の等級と自賠責の限度額は「後遺障害等級と自賠責保険の限度額や等級の併合について」で確認することができます。 この限度額は、逸失利益だけでなく、後遺障害に対する慰謝料の金額も含まれます。逸失利益だけでも限度額を超える可能性が十分にあり注意が必要です。限度額を超え、保険会社の提示額に納得がいかない場合は、示談ではなく裁判を起こした方がよいかもしれません。 交通事故で後遺症が残った場合には、賠償額が非常に高額なものとなるので、弁護士に依頼し、必要な補償を受けられるように対策することをおすすめします。

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